9/27(土) | 第20ステージ ▲ | サン・ロレンソ・デ・エル・エスコリアル 〜 アルト・デ・アバントス | 11.2km | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
最初の1kmに8.6%,11%,17%の登りがあり、7kmを過ぎて7.9%,8%を超えて全体的には平均斜度5.6%の11.2kmに渡る山岳個人タイムトライアル
今日のポイントはイシドロ・ノザル(ONC)とエラスの総合争い。 現在トップのノザルとロベルト・エラス(USP)には1'55"のタイム差があります。登りに強いエラスが、それほど登りが得意ではなくかつ疲労のたまっていてアシストもいないノザルを抜き去って総合優勝してしまうのか、ノザルは逃げ切ることができるのか? 90人終わって、トップはデイビッド・ミラー(COF)。TTスペシャリストのミラーがトップタイムということは、エラスがノザルに約2分の差をつけるほどきつい斜度ではない、ということなのでしょうか?ミラーのタイムがトップにいつづけるなら、ノザル有利に、ミラーのタイムが塗り替えられていくならエラスが有利なステージだと考えることができます。 92番目に出走したファビアン・イェーカー(MSS)が54"更新して暫定トップに。 いよいよトップ20のスタート。1分間隔のスタートが2分間隔になります。 山岳リーダーのフェリッックス・カルデナス(LBR)、イェーカーのタイムを1秒更新して暫定トップに。 さらにアレハンドロ・バルヴェルデ(KEL)がカルデナスと同タイム、1/10秒差で暫定トップに躍り出ました。15STではゴール直前で追いついたバルヴェルデに優勝をさらわれたカルデナス、バルヴェルデには「またかよ〜」って思ったでしょうね。 3位のイゴールがスタート。山岳ステージ用の小径車です。序盤の勾配がきついところなど、沿道の観衆がイゴールのそばに集まっています。エラス、ノザルになったらどれだけの人になっちゃうんでしょう。 2位のエラスがスタート。 興奮した観衆でエラスの進路が見えないほどです。まるっきり前にたちはだかる人もいて、ツールで観衆の持ち物にひっかかって落車したランス・アームストロングの姿が記憶に新しいので、「国旗はひっかかるから下がって!もう、みんなどけてっ」と一人TVに向かって叫んでしまいました。約2分を縮めなくてはいけないエラス。序盤の勾配がきついところで、とにかく差をつけなくてはいけません。 とうとう1位のノザルがスタート。サングラスをしていて目は見えませんが、緊張しているような感じです。最初の3kmでエラスが30"リード。単純計算すればゴールする頃までに2分の差をつけられるかもしれません。が、10%を超える勾配はもう過ぎてしまいました。最初の3kmに比べ勾配はゆるくなりますから、次の3kmで単純にもう30"の差がつくとは考えにくいところです。 4km地点では、38"差。 5km地点では、47差になりました。 6kmの中間計測地点、イゴールは14'29"で36位。ノザルは14'17"、エラスに後れること51"。しかし、エラスのタイムはイェーカーに9"後れ。ミラーよりも登れるであろうノザルであれば、ゴールタイムではイェーカーとミラーは51"差なので、エラスとノザルのタイム差も結局1分つかないのではないか、という解説がありました。 その直後、GPSで表示された2人のタイム差が53"...54"...55"...56"....と広がっていき、解説陣も驚きの声をあげていました。 残り3km、ノザルとのタイム差は1分。 エラス残り2km、2分前に出走したイゴール・ゴンザレスがエラスの視界に! イゴールが後ろにつくのを嫌がったエラスが勢いよく加速、一気にイゴールを引き離しました。ノザルとのタイム差は1'30"。 エラスはトップタイムの25'08"でゴール。ステージ優勝は間違いありませんが、果たして総合優勝なるのでしょうか? エラスのゴール後、ノザルにカメラが切り替わると、GPSの表示するタイム差はまさに1'55"。2人の総合タイムが並んでしまいました。 ノザル残り1km、タイム差は2'08"。力無くこいでいる感じです。残り500mでギアをアウターに変えますが、ロスした差を取り戻すことはできませんでした。 結局2'30"後れてゴール。ノザルはとうとうゴールデンジャージを手放すことになり、エラスは昨年とは反対に最後のTTで総合優勝を勝ち取ることができました。昨年の最終日のTTでは、1'08"リードしていたところを逆に2'14"の差をつけられて、アイトール・ゴンザレスに優勝を譲ってしまいましたからね。 ステージ2位のバルヴェルデにポイントがついて、ポイントリーダーがザベルからバルヴェルデに変わりました。明日のマドリッドで、ペタッキとザベルのスプリンター争いに決着がつきますね。 レース後のエラスのコメント: 「きつい勾配があったり平坦な地点があったりで今日のステージは難しかった。 僕たちは少しずつヴェルタでの総合優勝に近づきつつある。最初のタイムトライアル( 6ST,サラゴサ)では良くなかったが、2回目のタイムトライアル(13ST,アルバセテ)では持ち直した。それが大きかった、本当に大きかった。僕は大きなチームにいる。」 ヨハン・ブリュイネル監督(USP)のコメント: 「今日のステージを勝つことができて非常に満足している。エラスが成し得たことは信じられないし、同じ年にツールとヴェルタの両方を勝てるなんて信じられないよ。リーダージャージを獲得するのはほとんど無理だと思っていたが、エラスが素晴らしいタイムトライアルをしてくれたし、ノザルは良くなかった。その両方が作用した結果なんだ。」 イシドロ・ノザル(ONC)のコメント: 「全体的には良く頑張ったと思う。タイムトライアルを良く走ったエラスにおめでとうと言わなくては。彼は僕より良かったから。このヴェルタではいい走りができたと思う。最初の1kmがすごくきつかった。それからは1kmごとに苦しくなっていった。」
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