*は訳者注です。
7/26(土) 第19ステージ タイラー・ハミルトン:終わりが見えてきた
紙面では、第17ステージも第18ステージも比較的似たようなものだとあったが、実際は少し違っている。 木曜日(*17ステージ)には、スタート直後からアタックがあったから集団はコントロールされ、安定したテンポだった。しかし昨日(*18ステージ)ではアタックが決まるまでに65kmかかったので、最初の1時間とステージの半分はアタックが相次ぎかなりストレスのかかるものだった。集団の先頭で戦いが繰り広げられている間、集団後方ではいろいろな仕事があった。しかし最終的な逃げが決まった後で仕事は落ち着いた。歓迎すべき変化だ。

サンメクサンメコルからナントへの昨夜の移動時間は非常に長かった。2時間かかってホテルに到着した。キャラバン隊や全てのオーガナイザーを含むレース関係者が、同じ方向に向かって高速で渋滞していた。 渋滞が少し緩やかになった頃雨が降り始めた。

ピレネーに入った頃から厚い雲がレースを覆っていたけれども、今まで重要な降雨にはあってなかった。 今朝はかなり激しい風と雨の降る音で目が覚めた。 僕たちは体力を使いきっていると言えるかもしれないが、とりわけツールドフランスの、タイムトライアルの日にこんな天気だなんて、誰だって嬉しいはずがない。

ツールをずっと見てきた人は誰もが最後の個人タイムトライアルでのアームストロングとウルリッヒの対決を待っていたと思う。天候はただ単に最後の瞬間まで憶測と緊張感を付け加えたにすぎない。これは必ず忘れられないツールになる。台本通りにしたってこんなに面白くはならなかっただろうに、と言う人もいる。

雨がかなり激しかったので、今朝は車からタイムトライアルのコースを下見した。 (*15ステージは頂上ゴール)レース後リュズアルディダンの下りで体が冷えたために、チームメイトの一人がインフルエンザにかかってしまった。そして昨日あたりうまいことその風邪をもらってしまった。だからレース前はあまりいい気分じゃなかったんだ。

それにもかかわらず、あれこれ考えてみると、第19ステージはかなり良かったと思う。 非常に重要な追い風が吹いていたから、タイムは速いものになるし接近したものになるだろうと判断した。 その上コースを下見して良かった、というのもロータリーやコーナーがたくさんあってかなりテクニカルなコースだったから。水浸しの路面でそのロータリーやコーナーをうまくやるのは本当に厳しかった。 ある地点では車輪が水に入りすぎてほとんどブレーキが利かなかった、だからコントロールを失っても自分を支えられるように片足のビンディングを外しておく必要があったんだ。

9秒差で2位でのフィニッシュというのは、一体どこで速度をあげることができたのか、と疑問を持たれても仕方がないくらい1位に近い結果である。しかしこの日、あの天候で、僕はできるだけ速く走ろうと思っていた。濡れたコーナーをよく速く通過することは問題じゃなかった。他の選手はコーナーを速度抑えて走るしかないからね。そのコーナーやら追い風やらで、最後にはまるでガソリンでも入っているみたいだったね。そう感じたのが僕だけじゃないことは分かってる。ゴール前が長いストレートだったなら、レースはもっと面白くなっていたかもしれないのだが。

レース後僕はCofidisのバスで着替えた。デイビッド・ミラー(COF)がTVでランス(USP)とヤン(TBI)の走りをかたずを飲んで見ていた。ヤンがランスの総合タイムに迫ろうとしたのは厳しいことだったし(*ウルリッヒが落車したので)、それはランスが招いたことでもない。2人の戦いが総合争いになったことは、僕はOKだと思う。価値のある勝利をあげたデイブを見ることができて嬉しかった。

明日僕たちはTGV(*フランスの新幹線)でパリの凱旋門に戻る。この地から今回の旅はスタートしたわけだけど、なんだか遠い昔のような気がする。

読んでくれてありがとう。