Giro d'Italia

ステージレースは終わってしまうと、リザルト(結果)しか残りません。 記録ではなく記憶に残しておきたいレースの内容をメモっておきたいと思います。

[Giro d'Italia][チーム移籍表]

★レース日程---▲は山岳ステージ、▲Gは山頂ゴール、TTはタイムトライアル、無印は平坦ステージを示しています
日時/曜日 ステージ 開催地 距離
5/10(土) 第1ステージ レッチェ(サレント地方一周) 192km
ペタッキが強かった。やる気まんまんのDominaが終始集団をひっぱっていました。ゴール前の列車もDominaがばっちり組み、Fassaは列車を作れなかったのでペタッキはチポリーニの後ろについていました。後手に汗握る最初のゴールスプリントを制したのはペタッキ。最後の最後チポリーニが伸びないところをペタッキが後ろからさした感じでした。
5/11(日) 第2ステージ コペルティーノ 〜 マテーラ 174km
ゴールスプリントはマキュアンとバルダート。マキュアンの方が先にゴールしたんだけど、ちょっとバルダート側に寄りすぎてたんですね。ゴール後進路妨害のアピールをしていたバルダートが優勝になりました。認めてもらえたのは嬉しいけど、ゴールでガッツポーズしそこねた優勝ってちょっと惜しいですよね。
5/12(月) 第3ステージ ▲ ポリコーロ 〜 テルメ・ルイジャーネ 145km
5/13(火) 第4ステージ ▲ テルメ・ルイジャーネ 〜 ヴィーボ・ヴァレンティア 175km
チポリーニが山で遅れてしまったのは残念だったけど、「今のどっち?」っていうくらい拮抗したゴールスプリントでした。ペタッキとマキュアン。バルダートの進路妨害になった幻のゴールがありましたから、「これで文句あるかー」っていう気持ちのこもったゴールだったのではないかと。自分にかけられた疑いは自分の走りではらす、っていうのがプロらしいですよね。
5/14(水) 第5ステージ ▲ メッシーナ 〜 カターニア 169km
シチリア島のレース。私は船でこの地に行ったことがあって、まさに船はカターニアにとめ、メッシーナまででかけました。と言っても昔の話、レースの間ちっとも見覚えのある風景はありませんでした(苦笑)
インテルジロポイントでは3位通過のアッジャーノが突然寸止め。なんとインテルジロ争いをしているチームメイトのディビアーゼに譲ったんです。この日っから彼はマリアアッズーラ。もうすばらしいですよね。
ゴールスプリントはペタッキとチポリーニの勝負。またしてもペタッキが勝ってしまいました。高速でゴールしてしかも差は5cmなのに、ペタッキはガッツポーズ、チポリーニは負けたことが分かってるって、スプリンターってほんとにすごいなぁと思うのでした。
5/15(木) 休息日    
5/16(金) 第6ステージ マッダローニ 〜 アヴェッツァーノ 218km
アシストはほんとに良くやっています。ゴール前は相変わらずDominaが列車を作っていて、お膳立てが完璧すぎて「これで勝てなかったら」と勝手にこちらが冷や冷やしていました。しかもペタッキったらFassaが列車作ろうとしてるにもかかわらず、チポリーニの後ろだし。どうしてもそのスタイルでいくのね。しかもロンバルディの後ろにつけなかったチポリーニの前にペタッキったら入っちゃって、ロンバルディは後ろにチポリーニがいると思って全力でひいて、「さぁどうぞ」ってよけたらペタッキが飛び出して、隣には飛び出さないチポリーニがいて「え?」って感じでチポリーニを振り返った時は心臓がきゅっと縮んだような気さえしました。ペタッキはアシストもナシでほんとに良くがんばってるんだけど、「もう〜ペタッキー!!」と思ってしまうのでした。
5/17(土) 第7ステージ ▲G アヴェッツァーノ 〜 テルミニッロ(カンポフォローニャ) 146km
マッツォレーニのアシストの賜物ですね。シモーニを振り切ってガルゼッリが勝ちました。ペタッキが遅れたのでマリアローザもガルゼッリに。とうとう総合が動き出したって感じです。
5/18(日) 第8ステージ リエーティ 〜 アレッツォ 217km
チポリーニが勝ちました!イタリアだけでなく、全ての自転車ファンが待ち望んでいたのではないでしょうか。やっとチポリーニの笑顔を見ることができました。チポリーニが勝ったと言っても、ゴール前までひっぱってくるアシスト、山でのステージを支えてきたアシスト、みんなの力によるものだと思います。この日の解説はできれば栗村さんで聞きたかったと思うのでした。
5/19(月) 第9ステージ アレッツォ 〜 モンテカティーニ・テルメ 160km
とうとうビンダの記録を越えて、ジロ最多42勝をあげました。最初に勝ったのが1989年(14年前!)、プロ1年目ですよ。それからここまで勝ち続けるなんて、ほんとにほんとにスーパーマリオです。
5/20(火) 第10ステージ ▲ モンテカティーニ・テルメ 〜 ファエンツァ 200km
解説の方々をも驚かせた追い上げでシモーニがガルゼッリからマリアローザを奪取しました。 7つの峠を越すところ、6つ目の峠でシモーニがしかけました。チームメイトのベルタニョッリを含む8名が逃げているところを、メイン集団にいたシモーニが突如追いかけはじめました。通常、前に逃げ集団がいる時にアタックをすることはありません。先頭集団が団結して走っていれば1人で追い上げるのは相当苦しいし、そうこうしているうちにメイン集団に吸収されてしまうからです。マリアローザのガルゼッリは反応できなかったのか、反応しなかったのか。彼はこの時点でアシストを使い切っていました。Viniのアシストは本当に良く集団をひっぱっていたし、登りではマッツォレーニがこれまた強い足でがんばっていたんです。
その頃先頭集団がだんだんばらけ始めていました。シモーニがメイン集団をちぎるためには下り要員が必要。シモーニが先頭に追いついた時に足の余っているものはおらず、 快足のシモーニはベルタニョッリ、ファクタのアルヴェセン、チェラミケのティラロンゴの3人を連れて山を登り、4人で山を下り、なんとか集団から逃げ切りゴールを果たしました。 逃げ集団にいたベルタニョッリはすでに足を使いきっていたのですが、なんといってもエースのシモーニがメイン集団からアタックをしてきたんです。必死でシモーニを追って山を上がっていく姿に、見ているこちらも力が入りました。
5/21(水) 第11ステージ ファエンツァ 〜 サン・ドナ・ディ・ピアーヴェ 199km
ゴール直前でほぼ直角に曲がるコースなんてアリ??って感じです。しかもこの日は雨。相変わらずDominaが先頭をひっぱって、チポリーニの後ろは激しい番手争いでした。チポリーニの後ろを死守したいペタッキ。スプリンターは誰でもそこに入りたいわけで、ナウドゥスとは子供のようなたたき合いをしていました。そんなバトルをしていたナウドゥスが周回コースに入った途端落車。残り1周残したところの最後のコーナーでなんとシレーアが落車。
どうなるDomina列車?!
最後の1周、最後のコーナー前でロンバルディが離脱、チポリーニったらコーナー一人でいいの?なんて思っていたら、コーナー内側を回っていたKelmeのイサクガルベスがチポリーニをひっかけて右端のガードまでどひゃーーーーーーーっと落車。結局コーナーを一番先に回ったマキュアンが余裕のゴールなのでした。
5/22(木) 第12ステージ ▲G サン・ドナ・ディ・ピアーヴェ 〜 モンテ・ゾンコラン 185km
昨日の落車によってチポリーニはリタイアすることになりました。痛そうに車に乗り込むシーンが流れましたが、ケガの程度はよくわかっていません。私の勝手な想像では本格的な山岳ステージはあまり走りたくなかったからリタイアのいい口実だったんじゃないかという気も。でもスプリンターと言ったって、我々一般市民なんかよりも山じゃ早いわけで、ちょっと行き過ぎた想像なのかな、という気もしていますが。ところで、一緒に落車したイサクガルベスも共にリタイア。これまたケガの程度は分かりませんが、チポリーニがリタイアするのに、転ばせた方がレース続行って・・・やりにくいですよね。まぁ彼がスペイン人だったのはせめてもの救いのような気がします。
この日のレースは斜度20%を越えるゾンコラン。 先にしかけたのはシモーニ。見逃せないガルゼッリ、カーサグランデ、パンターニ、ポポヴィッチ、ノアなどが追いかけるもシモーニをとらえることはできず、元チームメイトのガルゼッリ、パンターニがアイコンタクトで交代しながら山を登っていく姿が印象的でした。 最後の山に入った時、ヘルメットをぬぐと、マリアローザにあわせて髪にピンクのメッシュを入れていたシモーニ。ちゃんとヘルメットをぬぐことも計算していたんですね。バイクパンツもマリアローザにあわせ、サングラスのフレーム、グローブもピンクでした。
5/23(金) 第13ステージ ポルデノーネ 〜 マロスティカ 155km
チポリーニの去ったDominaではスプリントのエースはロンバルディだと思っていました。が、今日はなんとベンナーティ。若者に経験を、ということでしょうか。残念ながらペタッキには勝てず2位に終わりました。
5/24(土) 第14ステージ ▲G マロスティカ 〜 アルペ・デ・パンペアーゴ 162km
3つ山を越えた後にもっと高い山パンペアゴを登ってのゴール。 ゴール付近はいかにもスキー場って感じでリフトがあったり、道路は普段使われてませんって感じでひびとか入ってました。 今回のシモーニはワンチャンスに賭けていたと見え、じっくり待って最後の最後にしかけました。シモーニのアタックについてこれたのはポポヴィッチだけ。そのポポヴィッチもすぐにちぎれ、シモーニの独走。シモーニの地元に近いらしく、応援団、横断幕、道路に描かれる名前が非常に目立っていました。何度か後ろを振り返りゴール。さすがのシモーニも投げキッスとかガッツポーズも無し、その疲労度は凡人の想像を絶するものなんでしょうね。
5/25(日) 第15ステージ TT メラーノ 〜 ポルツァーノ 42km
この時点で総合1位はシモーニ、2位はガルゼッリ。 ガルゼッリの方がTTの成績がいいので、シモーニもここに来るまでに一生懸命貯金をし、ガルゼッリはここでどこまで追い上げるか、というのが争点でした。 ところが、序盤こそガルゼッリのペースは良かったものの、なぜかペースダウンしてしまい、ますます差が広がるという結果になってしまいました。不得手なTTでアドバンテージを広げたシモーニ、得意なTTで差をつけられてしまったガルゼッリ。この2人の心理状態が今後どう影響していくんでしょうか。
そして事件がありました。なんとペタッキがTTで落車です!しかも背中はジャージまで破れて痛々しい限り。果たして明日は走れるのでしょうか。 そうそう、優勝はアイトールゴンザレスです(忘れてたわけじゃありませんよ)。今回はあまり目立っていませんが、しっかり1勝あげました。
5/26(月) 第16ステージ アルコ・ディ・トレント 〜 パヴィア 207km
昨日のけがで、解説によると「立っているのもやっと」という感じだったようなので、出場も危ういと思っていたら、ポイント賞のマリアチクラミーノ(シクラメン色のジャージ)を着てミラノへゴールすることに思い入れがあるらしく、根性でスタートしていました。なので、まさかゴールスプリントはしないだろうと思ったら、カスペール、スフォラダ、ベンナーティをちぎって意地のゴール。せっかくのゴールも腕は上がらない、表彰台でマリアチクラミーノに着替えるのも、横のお姉さんに手伝ってもらうほどでした。これでもうジロ5勝、去年のチポリーニの記録にあと1つと迫りました。ゴール後マッサーの中野さんと抱き合っていたのが印象的でした。
5/27(火) 休息日    
5/28(水) 第17ステージ サーリチェ・テルメ 〜 アスティ 130km
今日もやっぱりゴールはスプリント勝負。「傷ついたライオン」(解説より)に一矢報いるかのごとく、ロンバルディ、キャスペール、フルランが番手争い。ペタッキの前に入ろうとしたキャスペールをこづいてまでアシストの後ろを死守。ラスト50Mくらいでどこからかスフォラダが上がってくるもタイヤ半分及ばず。とうとう現役でのジロ最多6勝に並びました。チポリーニは明らかでしたが、マキュアンもいつのまにかリタイアしてしまって、敵なしですかね。明日の山岳が正念場(クライマーとは別の意味で)ですが、それを越えて最多勝を更新することができるでしょうか。
5/29(木) 第18ステージ ▲G サントゥアリオ・ディ・ヴィーコフォルテ 〜 キアナーレ 175km
チマコッピ(その年の最高峰に設定されるポイント賞)のかかった山岳ステージ。残念ながら放送では、すでにシモーニがアタックをかけたところから始まりました。飛び出す前から見たかったんだけど。 総合2位のガルゼッリと約2分差の総合3位ポポヴィッチが最後の下りでアタックをかけました。どうせ登りで追いつけるとシモーニは特においかけることなく、後ろから来るであろうアシストを待ち、マイペースに下っていました。が、アシストが来ることはなく、追いついたトーチニヒが前を引くことはなく(力がなかったのかな)、ちょっと計算外って感じでも自力でがんがん登っていき、さくっとポポヴィッチをかわし、結局フリーゴと協力しながら登ってゴールを譲っていました。
山頂は雪景色っていうか、路面にも雪があって「除雪してよ〜」と思わずTVを見ながら叫んでしまいました。なんて言っている間に、ガルゼッリとパンターニが共倒れ落車。総合争いのガルゼッリはすぐに走り出しましたが、パンターニはうずくまっていました。腕の傷はとても痛そうでした。それでも先頭より11分遅れで再スタート。タイムアウトにならずにゴールですよ、本当にすごいですね。
ところでこの日は40人を越すリタイアが出ました。そのうち38名がタイムアウトですって。ポポヴィッチやらシモーニが飛ばすからだわ。皮肉なことにこの日ゴールを飾ったフリーゴ、タイムアウトでリタイアになったマリアチクラミーノのペタッキは同じファッサボルトロ。。。辛い。しかもペタッキをアシストしていた3人もタイムアウト。エフデジューに至っては5人のタイムアウト。山岳ステージってほんとに辛いのね。
5/30(金) 第19ステージ ▲G カネッリ 〜 トーチェの滝 236km
最後の山岳ステージ。 今日はステージ狙いのアタックがいろいろあった後、パンターニがアタックしました。さすが熟練の技で何度も緩急をつけて後続の様子を見ながらのアタックでした。残念ながら逃げ切ることはできず、結局シモーニにかわされてしまいました。前日の痛々しい落車をした後なのに、すばらしいファイトですよね。シモーニったら総合の順位は危うくないのに、自分へのボーナスでしょうか、足が余ってたんですかね、後続をぶっちぎって山頂ゴールを決めていました。表彰台で両隣のお姉さんからの祝福のキスを目を閉じて受け、下唇をかむ仕草が、勝利をかみしめてるようで印象的でした。
5/31(土) 第20ステージ カンノービオ 〜 カントゥー 122km
総合首位はほとんど決まり、2位争いは明日のTTで、コースは平坦ということだったので、「スプリンターなき後のスプリンター争い」が期待されました。ステージ優勝を狙うのもこれがラストチャンスということもあり、いろいろな人が何度となくアタックをし、吸収され、先頭のアタック集団、追随集団、特に追いかける気のないメイン集団といった感じでした。
最終的にはFassaのヴェーロが飛び出しDominaのロンバルディも追いかけて2人での逃げ、それを追いかけるViniのマッツォレーニ、Ceramicheのフィグエラス。後ろの2人がヴェーロ達に追いついたところで、マッツォレーニがさらに1人で飛び出しました。私的にはスーパーアシストなロンバルディかマッツォレーニに取ってほしいと思っていました。 ロンバルディのシナリオはLampreのスフォラダのいない所で、しかも少人数のゴールスプリントで決めたい。その他3人はスプリントではロンバルディにはかなわないので、できるだけ彼の足を使わせてその力をなくしたい。 というわけで、ロンバルディが1人でマッツォレーニに追いついた途端、マッツォレーニは引かなくなりました。しかも後ろの2人が迫ってくるのでロンバルディとしても引かないわけには行きません。とうとうラスト1kmでヴェーロ、フィグエラスが追いつき、お見合い状態かと思われたところ、ヴェーロが飛び出し、ロンバルディはその後ろにつき、ばしっとスプリントを決めたのでした。ゴール後、ヴェーロと握手をしていたがばっちりTVに映ってました★
6/1(日) 第21ステージ TT イドロスカロ 〜 ミラノ 33km
総合争いは落ち着いたので、注目は2位争いでした。2秒差で2位を追いかけるのがポポヴィッチ。ガルゼッリよりもTTは得意とされていましたが、20日間走り続けてきたことなんかもあるんですかね。それよりも2秒差を死守するんだ、というガルゼッリの意地ですかね。結局ポポヴィッチにさらに差をつけての2位となりました。
TTの最後にスタートするのはシモーニ。何もかもがピンクでした。ゴールさえすれば総合優勝が決まるシモーニは、ジャージにバイクパンツはもちろん、ヘルメット、サングラス、グローブ、バイクも全てマリアローザ仕様でした。シューズカバーの黒だけが目立っちゃってましたけどね。ゴール後は泣いてたんじゃないかと思います。周りから水のボトルをもらって顔にかけてました。
今日の優勝はゴンチャール。2,3,4位はなんとFassa勢です。5人しか残ってないFassaのうち3人がTTで上位なんてすごいチームですよね。